2013年12月6日金曜日

Yahoo! テキスト解析API キーフレーズ抽出(レスポンス検証編)

株式会社ジェニシス 技術開発事業部の遠藤 太志郎(Tacy)です。

今回はいよいよ、「Yahoo! テキスト解析API キーフレーズ抽出」を実行してその結果を見てみたいと思います。

使い方

キーフレーズ抽出APIの公式サイトは以下です。

http://developer.yahoo.co.jp/webapi/jlp/keyphrase/v1/extract.html

ヤフーの良い所は、公式ドキュメントが日本語で整っていることですね。
GoogleやFaceBook、Twitterなどは英語しか無いのでどうやって使えば良いのか、仕様を読み取るだけでも一苦労です。

そのような解読が難しいAPIであれば、APIのパラメータ指定方法等についてもこのブログで解説する所ですが、
ヤフーの場合は不要でしょう。
公式サイトを見た方が分かりやすいと思います。

というわけで、前回作ったリクエスト送信機能を使って、早速レスポンス結果をチェックしてみます。

テスト送信

最初にテストとして流すのは、

「私は株式会社ジェニシス、技術開発事業部の遠藤 太志郎です。」

この一文を実行してみます。

すると以下のようなXMLのレスポンスが返ってきました。



このAPIでは「xml」「json」「PHP Serialize」の3パターンでレスポンスを取得出来ますが、特に指定が無ければXMLの形で帰ってきます。

ヤフー側で文章を単語毎に分割して、抽出した単語をKeyphraseタグ、その重要度をScoreタグで表現してくれています。

この結果を読みやすいようにリスト化した結果が、以下のようになりました。

順位キーフレーズ重要度
1太志郎100
2株式会社ジェニシス81
3技術開発事業部51
4遠藤45
510

なるほどなるほど。
ちゃんと『日本語の単語』毎に分割してくれていますね。
この辺りの正確さがヤフーの「日本語形態素解析」の技術力なのです。

このケースだと、私の名前「太志郎」が重要度TOPに輝くことになりました。

検証:単語のレア度

上記の結果では私の名前「太志郎」が重要度TOPになりました。
しかし、自分で言うのも何ですが、私の「太志郎」という名前は珍しい名前だと思います。
同じ名前の人に会ったこと無いですし、ネットで検索しても余り出てきません。

では、名前がありふれた名前だったら?
そこで、次に以下の文章を流してみます。

「私は株式会社ジェニシス、技術開発事業部の遠藤 太郎です。」

「太郎」という日本一普通な名前にして実行してみたところ、以下のようになりました。

順位キーフレーズ重要度
1株式会社ジェニシス100
2技術開発事業部62
3遠藤55
4太郎48
513

何と、太郎さんは一気に4位まで転落してしまいました。
この結果から考察すると、このWebAPIには以下の傾向があると推察されます。


単語毎に「レア度判定」があり、レアな単語ほどポイントが高い。



検証:長文解析

次に、短い一文を流すのではなく、長文の解析を行います。
このAPIは一度のリクエストサイズは「100KBまで」という制限があります。
この為、大量情報を一気に解析することは出来ませんが、短い小説くらいなら耐えられます。

そこで、サンプルとして、青空文庫より芥川龍之介の羅生門を拝借してきました。
比較的短めのストーリーで、知名度も高く、サンプルとしては向いていると思います。

その結果がこちら。
全部掲載するのは冗長である為、ベスト5だけ掲載します。

順位キーフレーズ重要度
1下人100
2老婆71
3面皰(にきび)64
4羅生門64
5雨やみ61

なるほど。
まさに「羅生門」な結果になりました。
羅生門における重要フレーズを見事に突いていると思います。
「何の小説を解析した結果でしょう?」というクイズに使えそうなくらいの正確さであると思います。

次にもう一つ、同じく青空文庫より白雪姫を解析してみます。

サイズオーバーしたので少し文章を削りましたが、その結果がこちら。

順位キーフレーズ重要度登場回数
1おまえさん10010
2白雪姫7950
3こくたん674
4まま母675
5小人6352

TOPは「おまえさん」ですか。。。
これはちょっとハズレな気がしますね。

それぞれの単語の登場回数もカウントしましたが、余り順位との相関関係が見られません。
「文章中にその単語が何回使われているか」も重要度を決定する上では考慮されている可能性もありますが、それだけではないのは確実です。
上記で考察した「レア度」など、複数の要素でポイントを算出しているようです。

そして注目しなければならないのは、この表に「リンゴ」がありませんね。
ベスト5のみならず、ベスト20にも入っていません。
白雪姫のストーリー上、「毒リンゴ」は最重要キーワードなはずですが、カスリもしないという結果になりました。

つまり、


単語を解析する機能であって、ストーリー上の重要性は考慮されない。


ということです。
やはりストーリー性までをアルゴリズム化することは不可能なようです。
「そりゃそうだろう」という結果ですが、利用者はちゃんと認識しておかなければならない要素です。

利用方法検討

以上の検証により、「Yahoo! テキスト解析API キーフレーズ」の傾向が分かってきました。

  • 特徴的な単語を抽出することが可能である。
  • 特徴的な単語を抽出する機能であって、重要な単語を抽出する機能ではない。
  • フリーの長文を解析することが可能である。

これらを総合すると、「フリーの長文を読み込ませて特徴的な単語を抽出し、その中で何が重要であるかは人間が見て判断する」という用途に役立てることが出来そうです。

現実の業務でどのようなタイミングで使用出来るかと考えると、アンケート解析に使えそうです。

「その他、ご自由にお書き下さい」とか、アンケートにはフリー項目の欄が設けられていることも多いです。
もちろん、それらは担当者の人が実際に読んで、大事な部分を読み取る作業が必要不可欠です。
その作業を完全に自動化することは不可能ですが、補助ツールとしては利用価値があるのではないでしょうか?

終わりに

最後にもう一つ、テキストを読み込ませてみたいと思います。

わが社の公式ホームページに掲載されている、「社長からのご挨拶」。

http://www.genesis-net.co.jp/company/message.html


これをキーフレーズ抽出します!!
結果は以下でした。

順位キーフレーズ重要度
1ジェニシス100
2最先端56
3フィードバック49
4新大陸45
5輝かしい財産43

この解析結果の評価につきましては、一社員である私はコメントを差し控え、読者である皆様各自にてご判断頂きたく思います。

2013年11月29日金曜日

Yahoo! テキスト解析API キーフレーズ抽出(送信機能作成編)

株式会社ジェニシス 技術開発事業部の遠藤 太志郎(Tacy)です。

現在は巷にあるWebAPIの検証を行っています。

リクエスト送信機能

さて、WebAPIを実行するにはリクエスト送信機能が無くてはなりません。

HTTPリクエスト送信には一般に「Getメソッド」と「Postメソッド」があります。

本当はHTTPには「Deleteメソッド」とか「Putメソッド」とか色々と策定されているのですが、HTTPブラウザを初めとして送受信するソフトウェアの方が非対応だったりすることが多く、ほとんど使われていません。
「各メソッドはちゃんと決められたルールに則って使おう」という呼びかけもありますが、それが実現するのはまだ相当先となるでしょう。(永久に来ないかも)

というわけで、今回は「Getメソッド」と「Postメソッド」のみを考察します。

GetとPostの本来の用途は以下です。

  • Get:リソースの取得に使用する。(例えば、テーブルの主キーをGet送信して検索し結果を取得する、など)
  • Post:情報の送信に使用する。(例えば、入力フォームの全情報をPost送信してテーブルに保存する、など)

今回のテキスト解析APIは「テキスト解析結果を取得する」機能ですので、Getを使う方が標準と言えます。

しかし、Getメソッドの場合、Webサーバに最大長制限があります。
(Apacheの場合はデフォルトで「8190バイト」など。)

今回のテキスト解析APIでは、解析するテキストの長さがどれくらいになるか分かりませんので、
「Getで大量データを送信したらエラー」といったケースが想定されます。

その一方、Postにも上限はありますが、こちらはGetよりも大量データを送信出来ます。
(Tomcatの場合はデフォルトで「2メガバイト」など。)

この為、今回はPost送信を使います。

  • テーブルの主キー検索など、リクエスト長の上限が明確に決まっている場合はGetメソッド。
  • 今回のテキスト解析APIのテキスト送信みたいに、リクエスト長が不明 or 大量な場合はPostメソッド。

こういう使い分けにするのが合理的でしょう。

以下に私がJavaで作ったPost送信機能のサンプルソースを記載しておきます。
特に変わった機能は無く、普通に送信して、人間が目で見て分かりやすい形に出力するソースです。

HTTP通信は汎用的なプロトコルですので、JavaScript、PHP、Rubyなど、各言語でも作成できます。
各自の環境で都度、都合の良いように作れば良いでしょう。


public class RequestSender {

 /** logger */
 private Logger logger = Logger
   .getLogger(RequestSender.class);

 /**
  * リクエストをPOST送信する
  *
  * @param url
  * @param postBody
  * @return
  * @throws IOException
  */
 public String sendPost(String url, String postBody) throws IOException {

  //log4j使用
  //送信パラメータをトレースログに出力
  if(logger.isTraceEnabled()){
   logger.trace("送信先URL:" + url);
   logger.trace("リクエストボディ:" + postBody);
  }

  URL sendURL = new URL(url);
  URLConnection con = sendURL.openConnection();

  // POST送信モードを指定
  con.setDoOutput(true);

  // 送信実行
  OutputStreamWriter osw = null;
  BufferedWriter bw = null;
  try {
   osw = new OutputStreamWriter(con.getOutputStream());
   bw = new BufferedWriter(osw);

   // POSTの内容を書き出す
   bw.write(postBody);

  } finally {
   if (bw != null) {
    bw.close();
   }
   if (osw != null) {
    osw.close();
   }
  }

  // 受信
  InputStreamReader isr = null;
  BufferedReader br = null;

  StringBuilder bul = new StringBuilder();

  try {
   isr = new InputStreamReader(con.getInputStream());
   br = new BufferedReader(isr);

   String line;
   while ((line = br.readLine()) != null) {
    //肉眼で見やすいように改行コードを付与
    bul.append(line).append(System.getProperty("line.separator"));
   }

  } finally {
   if (br != null) {
    br.close();
   }
   if (isr != null) {
    isr.close();
   }
  }

  //apachecommons使用
  //最後の改行コード削除
  return StringUtils.chomp(bul.toString());

 }

}


リクエスト発行編へ


文面が長くなってきましたので、今回はここまで。
次回はいよいよ、上記ソースを使ってレスポンスの中身を検証してみます。

2013年11月18日月曜日

Yahoo! Web API 登録編

株式会社ジェニシス 技術開発事業部の遠藤 太志郎(Tacy)です。

しばらくは世に溢れる「WebAPI」の機能について検証していきたいと思います。

最初はヤフーのWeb APIです。

Yahoo! Web API


YahooはWebAPIをいくつも提供しておりまして、その種類も豊富。
WebAPI界の大御所と言えるでしょう。

しかも良い所は、日本語の説明ドキュメントがある点ですね。
Google、FaceBook、Twitter辺りだと英語しか無いので、大変助かります。

公式サイトは以下です。


さて、早速テキトーにリクエストを投げて……ん?



どうやらリクエスト送信には「アプリケーションID」の取得が必要なようですね。

このようにWebAPIにはIDの取得を求められることが多いです。
WebAPIは使えば使うほど、WebAPI側のネットワークやサーバの負荷が掛かりますので、誰がどれくらい使っているかを管理する為にIDが必要ということですね。

従量課金制になっている所も多く、リクエストが多いIDほど、多くの金が取られるということです。



  • WebAPI業者はIDで使用者を管理している。



逆に言いますと、「IDさえ分かればなりすまし可能」という意味ですよ。

つまり、「JSファイルにIDをベタ書きして、Ajaxでリクエスト発行」とかやるとJSソースを解析されてIDが盗まれますので、
大事なIDはサーバ側で保管しておき、WebAPI発行はサーバ側から行うと良いでしょう。




  • WebAPIのリクエスト発行はクライアントサイドからAjaxでも行えるが、セキュリティを考えるならサーバから発行した方が良い




以上、簡単なことですが大事なことなのでお忘れ無く。


アプリケーションID取得


では、本題のアプリケーションID取得に入りましょう。

YahooJapanにログインしている状態で以下のページにアクセスします。





ここの「新しいアプリケーションを開発」のボタンをクリックします。


すると、以下のような画面が表示されます。
(メアドが表示されていますので、その部分は隠させて頂きました)



これを見ると、「サーバサイド」「クライアントサイド」と、利用目的に応じて違う設定が必要なようです。
クライアントサイドの方に「OAuth 2.0 Implicit」と書いてありますが、これは超巨大なセキュリティホールが出来るという噂の認証方式……。
今回は「サーバサイド」を選択して進んでみようと思います。


そこから先に続くのは「アプリケーション名」や「サイトURL」等ですが、今回は動作検証用ですので、
デフォルト値のままにしておきます。

最後に「同意」を選んで確認ボタンをクリックしますと、確認画面を表示した後に、IDの取得が完了します。

次の画面に進んだ時には、もうIDが発行されています。
(モザイクで見えなくさせて頂いておりますが)



簡単ですね!!

アプリケーションIDは「ハッシュ値」みたいな文字列です。

上記にもありますが、アプリケーションIDは大事な値ですので、推測も出来ないようになっていなければなりません。
更に一意性も必要ですので、「ログインID+シーケンス番号した文字列をハッシュ変換」といった方式で出力しているものと推測されます。

そしてもう一つ、「シークレット」というものが出ています。
これにつきましては、調べたのですが詳細が分かりません。
YahooにはユーザIDがバレてもログイン出来なくする「シークレットID」なる機能もありますが、こちらはそれとは別物の模様。
詳細が分かり次第、記事にしたいと思います。


さて、これでIDの取得は完了です。
もうWebAPIを発行出来る状態になっています。

試しに、画面に表示されているサンプルリクエストを送信してみました。



ちゃんとレスポンスが返ってきていますね。
これで動作確認も取れました。

後は発行するだけでOKです。
実に簡単でした。

次回


次回からは、いよいよ本格的にWebAPIの機能検証に入ります。

2013年11月5日火曜日

WebAPI 導入編

株式会社ジェニシス 技術開発事業部の遠藤 太志郎(Tacy)です。

今回から「WebAPI」の連載をスタートしたいと思います。

WebAPIとは

連載のテーマであるWebAPIとは、特に厳密な定義があるわけではないのですが、要するにインターネット経由で余所からデータを取ってくる機能のことです。

例を挙げるとすると、ヤフーのニュース記事の下にあるTwitter部分。



これです。
これはヤフーのその記事と関連のあるツイートを表示しているわけですが、これをどうやって取得しているのかと言うと、Twitterが提供しているWebAPIを利用しているのです。


カラクリとしましては、HTTP通信でリクエストを投げると、レスポンスで「XML」か「JSON」かの形式で返ってきますので、それをパースして……。
と難しい話は以降の連載にしましょう。

ようするに、「リクエストを送信すると文字列が戻ってくるので、それを画面に出す」というだけのシンプルな機能です。

もちろん、こういった機能は自前で作ることも、別に難しいことではありません。
自前でWebAPIを作って公開し、使用料を取るというビジネスも普及しています。

WebAPIのニーズ

このWebAPIというサービス形態は昨今……というにはちょっと遅い気もしますが、最近注目のサービスです。
理由としましては、やはりスマートフォンやタブレットといった次世代携帯端末の存在でしょう。

これらの機器は内部にアプリを入れて機能するわけですが、やはり携帯端末ですのでリソースが少なく、そんなに重い機能を実装出来ないのです。
そこで、重い処理はWebAPIを動かしている巨大サーバで行って、必要な情報だけを取得して携帯端末に表示する。
そんなエンドユーザ端末の機器に優しいことがWebAPIの長所です。

WebAPIの現状

とは言え、私はWebAPIを使ったシステム開発は一度しかありません。
注目度の割にはあんまり出番が来ないサービスというイメージがあります。

その理由として、二つの理由を考えてみました。

1.出番が無い


まずはこれでしょう。
「Twitterの情報を取得したところで遊びにしか使えないじゃないか」みたいに、不特定多数のエンドユーザを想定したサービスが多いです。
元からオシャレなスマホアプリ作成を生業としている人ならともかく、私のような企業向け業務システム開発が中心のエンジニアには滅多に使用機会が訪れないのです。

2.お金&余所様のデータであること


もう一つの理由は、これ。
WebAPIはどこまで行っても他社様のデータを貰ってくるサービスですので、契約とか権利とかの理由で、業務用には敬遠されてちまいがち。軽く使いたいだけでも「法務部」とかそんなレベルの話になってしまい、内部調整が非常に大変です。

何より困るのが「仕様変更」ですね。
少し前にTwitterが急に仕様変更したせいで取れていたデータが取れなくなり潰れたサービスがありました。
WebAPI提供業者の都合に振り回されてしまうのも欠点です。

WebAPIの利用価値

このように難点も多いWebAPIですが、一方で凄く便利で高機能なサービスがあるのも確かです。

業務用システムエンジニアである私の立場では、「天気予報取得」「居酒屋の口コミの取得」など永遠に出番が無さそうなサービスも大量にありますが、中には「漢字に読み仮名を降る」「PDF変換」など、もしかしたら使い道もありそうな雰囲気のサービスもちらほら見かけます。
興味が湧いてきましたね。

というわけで、今回の連載では「業務用システムエンジニアから見たWebAPI」というテーマで、調査したWebAPIのご紹介をしていこうと思います。

次回予告

最初はヤフー提供のWebAPI『テキスト解析API』から調査開始です。

2013年10月30日水曜日

最強モックツール JMockit その11 Eclipseプラグイン

株式会社ジェニシス 技術開発事業部の遠藤 太志郎(Tacy)です。

長く続いた「JMockit」の記事も本日が最終回です。
JMockitは非常に多機能なライブラリなので他にもまだまだ機能はあるのですが、大抵の開発ならば前回までの内容で対応出来ると思います。
何回か使ってみて、『もっとこういう機能が無いかな?』という状況になった時、改めて探してみるのが良いかと思います。

さて、最後はチラッと小ネタをご紹介します。

Eclipseプラグイン


JMockitには、Eclipse上での入力を支援してくれるプラグインがあるようです。


導入すると、「ctr + スペース」で以下のように入力候補が出てくるようになります。


他にも、「書き間違えている場合に赤くエラーを出す機能」「テスト対象になっているメインソースのジャンプする機能」などがついています。

別に導入必須という程の大した機能ではありませんが、こうした「ちょっと便利な機能」も忘れず押さえておくことで、日頃の開発効率を高めていくようにしたいものですね。

これからのJMockit~JMockit2~


何と、Googleの開発サイトでは「JMockit2」の開発が始まっているらしいです。


まだ開発途中ですが、『JMockit1とは違う視点から、もっとシンプルで優れたモックライブラリを作る!!』との触れ込みです。

現時点で十分に優れたライブラリかと思いますが、確かに調べていて少し難しいと感じることもあり、「シンプルさ」にはまだ改善の余地があるのかもしれません。

完成がいつになるかは分かりませんが、Java単体開発者としては耳寄りな状況として要チェックです。

首を長くして完成を待ちたいと思います。

終わりに


これにてJMockitの連載は終了です。

連載を終えるに辺り、JMockitに関する所感を述べるならば、上にもありますが「結構難しい!!」ですね。
そもそも、モックという発想自体が黒魔術ですので、何年もJava開発を行って基本を押さえている技術者ならば兎も角、経験の浅い人が触ったら混乱することになると思います。

また、『チームの全員がJMockitに精通している』という超精鋭チームを用意することも至難でしょう。

というわけで、「せっかく覚えたJMockitだ。ぜひ使いたい!!」という流行る気持ちは押さえて、

  • モックを使わなくてもテスト出来るクラス設計にする。
  • どうしても必要な例外部分だけ、JMockitを使用する。

といった程度の水準で導入するのが一番現実的ではないでしょうか。

例えば「正常系は普通にテストする。異常系はJMockitを使う」など、開発指針のレベルで適切な運用方法を考える所からがJMockitの始まりかと思います。


以上でJMockitの連載を終わります。
ご愛読ありがとうございました。

2013年10月21日月曜日

最強モックツール JMockit その10 コンストラクタ差し替え

株式会社ジェニシス 技術開発事業部の遠藤 太志郎(Tacy)です。

現在はモックツール「JMockit」の使い方をご紹介しています。

今回はコンストラクタの差し替えです。

コンストラクタの差し替え

前回は「メソッドを丸ごと差し替え」を行いましたが、
今回はその延長線で「コンストラクタ」の差し替えです。

コンストラクタは普通のメソッドとは違うということか、他のモックツールを見てもコンストラクタには非対応ということが多いようです。
しかしコンストラクタのモック化を必要とするシチュエーションも少なからずあるもの。
例えば、バッチの開発。偶に見るのですが、コンストラクタで環境設定ファイルを読み込む作りになっていることがあるのです。
しかも、前もって用意されている正規の環境設定ファイルは本番実行用で、テストの時はテスト用ファイルを読み込まなければならない、という場合も結構あります。

しすれmそういう現場では必ず以下のような会話で盛り上がります。


「あれ? テストが動かないぞ?? どうなってんの???」⇒「設定ファイルの差し替えを忘れてるんですよ」


これを何回でも繰り返すのが人間というものです。どの現場に行っても100%コレでした。
というわけで、ファイルの差し替えとか設定値の切り替えとか、そういう作業はJMockitを使ってテストソースの中に埋め込んでおく方が楽です。
ぜひ使ってみてください。

では、JMockitにおけるコンストラクタ差し替えの記述方法をご紹介しましょう。
まず、サンプルとして以下のようなコンストラクタを含んだクラスを作成します。

public class ConstructorSample {

 public ConstructorSample() {
  System.out.println("★コンストラクタ処理★");
 }

}

サンプルですのでprintlnのみの処理ですが、本番ではここで色々処理しているという想定です。
これに対し、テストソースの方は以下のように書きます。

public class ConstructorSampleTest {

 @Test
 public void test() {
  new MockUp<ConstructorSample>() {

        @Mock void $init() {
         System.out.println("★コンストラクタ差し替え★");
        }
  };

  new ConstructorSample();
 }

}

コンストラクタの場合はメソッド名の指定が普通には指定できませんので、『$init』という特殊記号を使うわけです。

書き方の要領は前回と全く同じですので、『$init』を使うのだということを知っていれば簡単に使うことが出来るでしょう。


終わりに


JMockitは高機能なライブラリなので連載が長引きましたが、
今日までの記事で殆どのケースに対応可能だと思います。

次回は最終回、JMockit開発を支援するEclipseプラグインをご紹介します。

2013年10月15日火曜日

最強モックツール JMockit その9 メソッド丸替え

株式会社ジェニシス 技術開発事業部の遠藤 太志郎(Tacy)です。

現在はモックツール「JMockit」の使い方をご紹介しています。

今回はメソッドの中身の丸ごと差し替えです。

メソッド全体の差し替え

今までご紹介してきたモック機能というのは、『元々のメソッドを実行しないで、仮の値を返す』というものです。

例えば、ログインチェック機能の場合、
本来の機能であれば『ログインIDとパスワードをチェックして、正しい場合はtrue、間違っている場合はfalseを返す』だったとします。
しかし、モック化することによって『いつも固定でtrueにする』とか、そういう感じです。

この場合、元々のメソッドは実行していませんので、DBにアクセスに行っていません。
ただ単に『true』という値が帰ってくるだけです。

このように、『返り値だけあればいい』という状況であれば今までのやり方でOKです。
しかし、そうではなくて、『別の処理をちゃんと実行して欲しい』という場合は、これではダメです。

例えば、以下のような状況です。

  • DBに間違った値が入った時のテストだから、本来の機能はモック化して潰し、代わりに間違った値をインサートさせたい。
  • メール送信機能のテストなんだけど、メール送信処理自体は実際にはメールを送信しなくていいからモック化する。でも、同時に行っている一時ファイル削除処理は行っておく必要がある。

このように、『ダミーの値を返すだけではなくて、違う処理をやりたい』という場合です。
こういう場合は、元々のメソッドをぶっ潰して、違う機能を書いてしまいましょう。

『メール送信後、ファイルを削除する』機能をモック化するというシチュエーションを想定します。
(サンプルなので、printでその処理を行ったという想定とします)

public class MailManager {
 public void sendMail(){
  System.out.println("★メールを送信する。★");
  System.out.println("送信した添付ファイルを削除する。");
 }
}

JUnitは単体テストですが、メール送信はプログラムだけでなくメールサーバも必要とします。
こういう風に違うサーバを必要とする処理のテストは結合テストで行って、単体テストフェーズではモックで済ます、というのは常套手段と言えるでしょう。

しかし、同時に行っている添付ファイル削除処理は実施しなければ都合が悪いということもあるでしょう。
もしくは、『メール送信は成功したけど、ファイル削除は失敗した』という状況を作りたかったりするなど、細かい要望は色々あります。

そういう場合、モックでメソッドを新規作成してしまえば良いのです。

以下がそのやり方です。

@Test
 public void testCreateFile() {
  new MockUp<MailManager>() {
   @Mock
   void sendMail() {
    System.out.println("ファイル削除(差し替え)");
   }
  };
  //メール送信
  MailManager manager = new MailManager();
  manager.sendMail();
 }

JMockitの場合、今回新規登場の『MockUp』というクラスを使うことで実現できます。

使い方も分かりやすいかと。
MockUpクラスの中で同じ名前のメソッドを書いて、@Mockをつければ、それだけで後は自動でモック化されます。

直感的に分かるようによく出来ているライブラリだと感心してしまいます。

終わりに


今回ご紹介したサンプルは、実際のところは回避可能でもあるんですよね。
だって、『メール送信』と『ファイル削除』を別々のメソッドにして、メール送信メソッドだけモック化すれば良いのですから。
しかし、実際の開発だとクラス設計がJUnitのことまで考えられていなくて、こういう作りになっていることもしばしば。
不本意ながらに結構お世話になってしまう機能かもしれません。

もしくは、『ファイル削除失敗』みたいに現実には実現出来ないシチュエーションを作るにも便利です。

代替機能を自分で作る手間はありますが、こんな風に自由に作り込める機能は大変助かりますね。

引き続きJMockitのご紹介をしていきます。