只今、クラウド基盤「Google App Engine(以下、GAE)」の連載しています。
前回でシステムへのログインに成功しましたので、今度は主立った機能を作って行きます。
しかし、ここで問題となるのが、BigTable。
GAE実装の上での最大の要所です。
機能概要
さて、とりあえず今から時間をかけて作っていく機能は、以下4機能です。- 商品の登録
- 商品の更新
- 商品の削除
- 商品の検索
手始めに、代表的なCRUD機能を作って使い方をマスターしていくという作戦なわけです。
RDBMSではない
GAEで使用するBigTableの特徴、それは「RDBMSではない」と言うことです。「RDBMS」という用語がピンと来ない方もいらっしゃるかもしれませんので軽くご説明しますと、
要はRDBMSとは普通のDBのことです。
「SELECT * FROM aaa,bbb WHERE aaa.id = bbb.id and ……」みたいにSQLを発行して結果を取得出来るアレです。
Oracle、PostgreSql、MySQL、これら代表的は全部RDBMSです。
実際の所、この業界のDBとは殆どRDBMSですので、「DBとはRDBMSのことだ!!」くらいの勢いで考えていても一生困らない人が大半かと思います。
しかし、GAEで採用しているDB「BigTable」はRDBMSの範疇に入りません。
Bigtableは「列指向データベースマネジメントシステム」というカテゴリに入るDBです。
しかし、RDBMSではありませんので、RDBMSの常識がこちらでは通用せず、カルチャーショックを受けることになります。
細かい話は順次判明次第調査していくとしまして、今回はかじり程度にご紹介したいと思います。
BigTableの長所
BigTableの長所は、「大量データOK」と「超高速」の2つです。何せ、世界中で使われているGoogleの分散システムを支える技術の中枢ですからね、名実共に世界最強の超高速DBだと思います。
具体的には「レコード件数が増えても検索速度は変わらない」という特徴があります。
普通のRDBMSの場合、100レコード中の10レコードを検索するのと、1億レコード中の10レコードを検索するのではパフォーマンスに差が出て来ます。
もちろん大量レコードの中から検索する方が遅い。
なのでDBプログラマーはインデックスを張ったり、テーブル自体を分割したりと、何とかその検索を高速で行おうと日夜チューニングを必死で行っているわけです。
しかし、GAEはそういう心配がありません。
総レコード数が100だろうが100億だろうが、検索速度は常に一定です。
そして速い。
「大量データ、大量アクセスに無敵の強さを発揮する」と言うのがGAEの強みで、そのDBであるBigTableも同様の性質を有しているのです。
BigTableの短所
一方で短所もあるって言うか、RDBMSに慣れている身としては、「大量データと超高速以外は短所しか無い」くらいの気分ですけどね。一例を挙げると「joinが無い」があります。
同時に2つ以上のテーブルを検索出来ません。
イメージとしては、エクセル表なのですよ。
まあ、縦列と横列の2次元であるという点ではRDBMSもエクセルも同じですが、RDBMSはSQLがあります。
BigTableの場合はフィルターです。
エクセルのフィルター機能だけで検索するようなイメージ。
それがBigTableです。
なので、RDBMSと違って、
- 複数のテーブルを結合したり出来ません。
- 「group byでグルーピングして最大値を取得する」とかも出来ません。
- 「count(*)」も出来ません。
- 曖昧検索も制限あり。
「え~ッ1? こんな事も出来ないの?」と言うくらいのカルチャーショックを受けます。
もし上記のような機能を実現したい場合は、まずテーブルのデータを全部ガボッと取得してJavaのロジックで算出するとか、そういう泥臭いやり方になります。
もちろん大量データの場合はガボッと全部取得とか出来ませんから、別途集計テーブルを用意しておいて都度更新していくなど、やり方を一考する必要が出て来ます。
「こんなんじゃ開発やってらんないよ!!」
みたいな気分になる事も多いですが、いやいや、代わりに「安い」ですから。
開発が大変になる代わりに圧倒的低コスト運用を実現出来るという可能性を秘めたインフラなので、何とか開発者の方は頑張ったって下さい。
世界に誇るGoogleのGoogle検索、Google画像検索、Googleマップ、Google+、youtube、このブログ。
あれらは全部BigTableで作っているのです。
我々があれらを全部タダみたいなコストで使わせて貰っているのは、開発者の方が知恵を使って頑張って開発してくれたからなのです。
開発者にはかなりの力量を要求されますが、代わりに成功すれば大きなメリットを会社にもたらしてくれるでしょう。
終わりに
ひとまず、BigTableのご挨拶という程度ではこの辺で終了します。詳しく書いていくと書籍になってしまいますので、このブログでは開発過程で出て来たポイントを都度ご紹介、という形になるでしょう。
次回からは、一先ず簡単な「レコード1件のcreate」から初めていきたいと思います。
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